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セルフオーダーと特急レーンの連動で 顧客満足を向上させることで 売上昨対比105%、客単価3.5%増
株式会松屋フーズ様(東京) すし松 蒲田2号店
大手牛めしチェーン『松屋』が手掛ける回転寿司業態『すし松』。全業態のなかでも初となる、セルフオーダーシステムを導入したのが、東京・蒲田の『すし松 蒲田2号店』だ。高速レーンと連動させた「オールオーダー店」へとリニューアルした、その狙いと効果、そして飲食店のIT化についての考えを㈱松屋フーズの滝本 崇氏に聞いた。
㈱松屋フーズが手掛ける回転寿司店『すし松』は、東京都と埼玉で鮨割烹業態1店を含む計6店を布陣。特に東京・蒲田は、駅前に2店を構えている。2018年3月には『すし松 蒲田2号店』を回転寿司店から、セルフオーダーシステムでオーダーし、高速レーンで直接客席に届ける「オールオーダー店」に切り替え、リニューアルを果たした。これにより売上昨対比は105%まで伸張。確実な効果を上げている。
ミス撲滅、教育時間低減による サービス時間を確保
「食材原価、人件費ともに高騰するなか、素材を重視するため食材原価にはメスを入れたくないと考えました。そこでいかに人件費を抑えつつ、生産性を上げるかが課題でした。
なかでも人為ミスの防止や教育時間を削減し、現状の人員構成でもサービス力を維持・向上できるようにと、オールオーダー店への切り替えに踏み切りました」と滝本 崇氏は話す。
セルフオーダーシステム「メニウくん」導入前は、手書き注文でスタッフが皿を数えていたため、ミスに対して注意を払わなければならない業務が多かった。さらにこうした一連の作業を教育する期間も必要だった。一方オールオーダー店にしてからは、オーダーや皿の数え間違いがなくなったことで、スタッフのストレスが軽減。教育時間も低減したため、新人スタッフの即戦力化を実現している。結果として、お客さまに接客する時間が増え、サービス力強化につながっている。
「特に今はオールオーダーに慣れていただく期間。アルコールも高速レーンで提供できるようにしていますが、今はスタッフが直接手渡したり、『メニウくん』の使い方を説明したりと、これまでのお客さまへの配慮もしております。
人員配置はピーク時でホール2.5人。リニューアル前はピーク時2・5〜3人と、体制は大きく変えず、顧客満足度の維持・向上に努めている。実質の人件費削減には至っていないが「ホール人員を減らすことよりも、スタッフが働きやすい労働環境に改善できれば」と考えている。
L時型の物件は手前に向かい合わせのカウンター席を、奥にはテーブル席も設置する。改装による席数の変化はなく、客単価増による売上げアップにつながった。
食材ロスゼロで原価率2%削減
オーダー後に提供するスタイルにすることで、メニューの売価・提供量は変えずに、原価率は2ポイントも低下。高速レーンの採用によりレーン上に常に寿司を回しておく必要がなく、ロスがなくなったことが原価率削減につながった。
また高速レーンで、スピード提供が可能に。混雑時はオーダーをためらうお客さまも、「メニウくん」は気兼ねなくオーダーできるため客単価増に結実する。実際、客単価もリニューアル後は3.5%増を記録し、売上昨対比増に貢献している。
調理データの蓄積による生産性向上を
管理画面では、各商品の提供時間のデータを見ることが可能。「提供に時間がかかるということは、手間のかかる商品かが見えてくる。つまり、食材原価と合わせ人件費も考慮しなければなりません」。こうしたデータは、いずれは生産効率を鑑みた商品の見直しや価格設定にも役立つだろう。
『すし松 蒲田2号店』の成果を受け、埼玉・大宮店もオールオーダー店にリニューアル予定。また今後出店する『すし松』も、オールオーダー店を予定している。
オールオーダー店は30坪以上、最低40席がとれる物件が条件。それ以下では「投資回収が合わない」と判断する。一方『すし松 蒲田2号店』は25坪32席だが、客席のみ一部改装のため、4年で回収できる見通しだ。
「飲食業界にもIT化の波が来ていますが、決して企業のコストダウンを目的にしてはいけないと思います。IT化の本質はお客さま満足度の向上のため。例えば現状の不満足を解消するためや、スタッフを減らしても満足度を維持するためなどを目的にすることが必要です。それが結果として、企業成長につながると考えています」。
※ 掲載情報は取材時の情報です。
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